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あかね台EMタイムス 第50号|動脈硬化とEPA、DHAの過剰摂取を考える

「あかね台EMタイムス」第50号は、2026年5月1日に発行しました。

前号では、認知機能とω3系脂肪酸の関係を取り上げました。今回はその続きとして、動脈硬化とEPAの働き、そして私がなぜDHAの過剰摂取を危惧しているのかをお伝えします。


動脈硬化は「脂が詰まる病気」だけではない

動脈硬化は、一般に「血管へ脂がたまる病気」と説明されます。

しかし、その始まりには、血管内皮の炎症や機能低下、一酸化窒素(NO)の産生低下、酸化ストレス、血小板の過剰な反応などが関係しています。

血管が目に見えて狭くなる前に、まず血管の働きが乱れるのです。

LDLコレステロールやアポBを含むリポ蛋白が多い状態は、動脈硬化を進める重要な要因です。ただし、数値だけを見るのではなく、血圧、糖代謝、喫煙、炎症、酸化ストレス、食生活などを含めて考える必要があります。


EPAは細胞膜と血流を整える

体内へ取り込まれたEPAの一部は、血管内皮細胞や血小板などの細胞膜へ組み込まれます。

細胞膜は、単なる仕切りではありません。外からの情報を受け取り、細胞がどのように反応するかを決める大切な場所です。

EPAは、細胞膜の脂肪酸構成や炎症に関係する物質の産生へ影響します。EPAからは、炎症を適切な終息へ導くE系列レゾルビンなどもつくられます。

さらに、血小板の過剰な反応を抑え、血流や血管内皮機能を整える方向に働きます。

EPAは血管を一瞬で若返らせるものではありません。炎症や血小板、細胞膜の環境を整え、血管が本来の働きを発揮しやすい状態を支える脂肪酸です。


私がDHAの過剰摂取を危惧する理由

EPAとDHAは、どちらもω3系脂肪酸ですが、同じ働きをするものではありません。

DHAは脳や網膜などの神経組織を構成する重要な脂肪酸です。一方で、二重結合を6つ持つため、非常に酸化されやすいという性質もあります。

必要な成分であることと、多く摂るほど健康に良いことは同じではありません。

EPAとDHAを比較した研究では、DHAの摂取によって、EPAよりもLDLコレステロールが上昇する傾向も報告されています。

私はDHAそのものや、魚を食べることを否定しているわけではありません。

危惧しているのは、「DHAは脳に良い」というイメージだけで、必要性や身体の状態を確認せず、DHA単独または高用量のサプリメントを摂取し続けることです。


EPAを中心に考える

体内には、EPAからDPAを経てDHAへ変換される経路があります。ただし、その変換量には限りがあるため、必要なDHAがすべてEPAからつくられると断定することはできません。

それでも私は、DHAだけを大量に加えるよりも、まずEPAによって炎症、血小板、血流、細胞膜の環境を整えることを重視しています。

高用量のω3系脂肪酸を使用した臨床試験では、心房細動の増加も報告されています。抗凝固薬や抗血小板薬を服用している方では、出血への配慮も必要です。

「ω3だから安全」「DHAだから脳に良い」と考え、摂取量を増やせばよいわけではありません。

健康とは、身体に良いといわれるものを足し続けることではなく、何が不足し、何が過剰なのかを見極めることです。


動脈硬化を、血管内皮、慢性炎症、細胞膜、血小板、血流という視点から考えること。そして、EPAとDHAの役割の違いを理解し、DHAの安易な過剰摂取を避ける大切さをお伝えした第50号です。


発行日:2026年5月1日発行:あかね台眼科脳神経外科クリニック

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