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あかね台EMタイムス 第36号|病原体だけが病気の原因なのでしょうか?

「あかね台EMタイムス」第36号は、2022年12月1日に発行しました。

今回は、菌やウイルスだけを病気の原因と考える「病原体病因説」と、病原体を受け入れる身体側の状態について取り上げました。


バリ島で起きたコレラの集団発生

1995年、バリ島から帰国した日本人旅行者の間で、コレラ患者が多数確認されました。

汚染された飲食物が感染源と考えられましたが、なぜ日本人旅行者に患者が集中したのかについては、明確に説明できない部分も残りました。

同じ病原体に触れても、発症する人としない人、軽症で済む人と重症化する人がいます。病原体の存在だけではなく、摂取量、胃酸、栄養状態、免疫、腸内環境など、身体側の条件も関係します。


コッホとペッテンコーファー

細菌学者ロベルト・コッホは、特定の病原体が特定の病気を引き起こすという考え方を発展させました。

一方、衛生学者マックス・フォン・ペッテンコーファーは、病原体だけで病気が決まるのではなく、宿主や生活環境も重要だと考えました。

ペッテンコーファーは、自らコレラ菌を飲む実験まで行いましたが、重いコレラを発症しなかったと伝えられています。

この出来事は、コレラ菌が無害だという意味ではありません。同じ病原体に触れても、その後の経過は身体や環境の状態によって変わることを示す象徴的な出来事です。


病原体を排除するだけでよいのか

抗菌薬や感染症治療は、多くの命を救ってきました。必要な場面では、適切に使うことが重要です。

しかし、「菌が悪いから菌を殺す」という考え方だけでは、身体全体の健康を取り戻すことはできません。

私は、病原体だけを悪者にするのではなく、なぜそれを抑え込めない身体になったのかを考えることが、より本質的だと考えています。


恐怖や不安と腸内フローラ

腸と脳は、自律神経、ホルモン、免疫などを介して互いに影響し合っています。

強い不安やストレスが続けば、睡眠、食欲、自律神経、腸内環境にも影響します。感染症を正しく恐れることは必要ですが、過剰な恐怖を与え続けることが健康につながるとは限りません。

大切なのは、病原体に対する恐怖だけを強めることではなく、食事、睡眠、腸内フローラ、生活環境を整え、自分の身体が持つ防御力を保つことです。

病原体か身体かという二者択一ではなく、病原体、宿主、生活環境を一つの生態系として考える。


菌やウイルスを排除する医療から、微生物と共生しながら健康を取り戻す医療へ。その考えをお伝えした第36号です。


発行日:2022年12月1日発行:あかね台眼科脳神経外科クリニック

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